全国裂織ニュース22号
 

夢織りびと30周年記念東京展から
横山 由紀子

経歴も年齢も様々
 東京ではじめての展覧会を06年11月9日〜14日東京銀座TANAKAホールで、無事終える事が出来ました。「夢織りびと」は神戸を中心に関西で、私が開いている教室です。このたびの出品者は、33名、織歴も年令も違う・・平均年齢が、指導している私よりも上、というメンバーでした。
出品作品の中から、裂織に関係した、又、制作方法など質問の多かった織物を紹介させていただきます。

注目の裂織作品
ワッフル織のタペストリー ディテール

@ワッフル織りタペ

@ディテール
 写真@ 松原里美さんのタペストリー。たまたま手に入れた高級スカーフのシルク端布で制作しています。織りあがりの作品に、より立体感を持たせるためムラ染めにしたワッフル織の応用です。6枚綜絖。組織上、ろくろ式では織りづらいので、私のオリジナルの単独綜絖の機を使用しています。経糸用の布は3cmから7cm。1cm1羽の筬に糸の太さによって、密度を変え1cm2羽〜1羽に入れ、綜絖通しもバラの花の様なデザインになる様にしました。
出来上がり(50cm巾×130cm)×3枚の作品です。立体的で、弾力があり、しわにもなりにくく、自立したタペストリーです。まさしく布との出会いで生まれた作品です。

思い出の布で
 写真A 第2・3回全国裂織展入選の今鷹みどりさんのタペストリー。彼女は最高齢の入選者ではなかったか‥と思います。現在82才、織りを始められたのは、74才でした。
思い出のタペストリー
A思い出のタペストリー
ノッティング技法のラグ
Bノッテング技法のラグ

技法は網代を応用した織物です。経糸を2色に染め、1cm4羽、2色を1本おきに入れ、緯糸は2色の布糸を交互に入れ、デザインした下絵をすくいながら制作しています。
この緯糸の布のステキな物語があります。外国航路の船長だったご主人が、40年前アメリカのおみやげに、持ち帰ったカーテン。色あせ窓から下ろされましたが、ご主人がなくなった後も捨てられず、大切にしまってありました。そのカーテンを2色に染め、5cm巾に切り、丁寧にチューブ状に手縫いしました、そしてそれを緯糸として織り上げたのです(70cm×140cm)。制作の為に使用した機は、80cm巾の卓上機でした。制作意欲と年令は関係ありませんね。
写真B 彼女は会期3日前に新作を織り上げました。やはりカーテンで織ったもので、平織りとシャギー(ノッテング技法)で織り上げたラグです。会期中会場へ5日間足を運ばれました。もちろん神戸から上京してです。本当に夢織りびと一同、今鷹さんから元気をもらっています。

公民館のカーテンからのラグ
 それでは、私の作品を2点(写真C)紹介します。ラグ(写真D)と、もう1点はタペストリー。 写真Cで、ラグは出来上がり80cm×300cmの作品です。生徒さんがある日、公民館で破棄されそうになった布をもらって来ました。その布を一目見るなり、私は映画「風と共に去りぬ」のあのタラの家のカーテンを思い出しました。同じ色、そしてベルベット…カーテンは大量で、皆でわけていただきました。
よろけ織とタペストリーのラグ
C横山由紀子作 
よろけ織りタペストリーとラグ
D陽に当てて彩色
陽にあてて彩色
私はその布を真夏の陽にあて、部分的に変色させました(3ケ月)。ベルベットのその布はもろくなりすぎて、とても染める事が出来なかったのです。経糸はタコ糸をブラウンに染めました。1cm3羽の筬に入れ、綜絖通しは綾の山通し、畳織りよりも、よこ色が美しくて、また、平織りよりも打ち込みがきくからです。織機は300cm巻き込み、打ち込みをしっかりするために、スウェーデン製の高機を使用しています。

よろけ織りのタペストリー
 最後に紹介するのは、近年私が織り続けている「よろけ織り」のタペストリー 写真Eです。タテ絣のように見えますが、「ほぐし絣」という方法で染めたものです。この技法は「染織&」11月号に詳しく載せていますのでご参照下さい。
よろけは、よろけ筬という筬を使用して織り上げていきます。この織の特長はたて糸がカーブを描くことです。そのカーブのはっきりした線を裂布を使って表現しました。
よろけ織ディテール

この布を織り上げる時、カーブを描く絹の布と(テープ状)糸との張りがだんだん変わって来て美しいカーブが出来にくい経験から、最近、機をもう一台使って二重に巻き取り(二重ビーム)を思いつき、カーブが無理なく描けるようになりました。
よろけは光を通した時、たて糸の密度の違いが美しく、照明用器具にしてみたりしています。まだまだユニークな裂織作品はありますが、今回はこの辺で・・・
これからも、新しい技法に挑戦しながら、夢織りびとと共に夢を織り上げて行きたいと思います。


                  (染織工房 夢織りびと主宰・武蔵野美術大学校友会兵庫支部長)