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全国裂織ニュース22号
「輪廻する糸2006」展から |
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若き挑戦 東京ビッグサイトでJAPANTEXと称するインテリアのトレンドショウが毎年開かれている。インテリアの関連企業による新製品の紹介や提案が行われているが、その一角のINTERIOR
CREATER’S TOWNというコーナーで、テキスタイル、染織関連の学科、専攻を有する32の美術大学、短期大学、専門学校の学生の参加による「輪廻する糸‘06」という展覧会が2006年11月22日(水)〜25日(土)まで行われた。
広い空間に商品が並んでいるその中にあって、売り物とはほど遠いものながら、想像力豊かな、そして創造性にあふれた作品群が展示されていた。この展覧会は数年前から行われていたがビッグサイトに場所を変えて30校の規模で行われるようになって今年で4回目である。毎回素材は無料で提供される。1・3回目は富山県の五箇山の1m幅のロール状の紙、2回目はインテリアファブリックの在庫品であったが、今回はエコの時代を反映して竹繊維(3kg)とトウモロコシ繊維(ポリ乳酸繊維)1kg)が各校に4月初めに配布された。竹繊維は、竹を原料にビスコース法で作られた再生繊維であり、木材パルプを原料にしたレーヨン繊維と類似のものである。一方トウモロコシ繊維はとうもろこしのでんぷんを原料に得られたポリ乳酸を溶融紡糸したものであり、従来の合成繊維の特性と生分解性を合わせ持った新合成繊維である。つまり埋め立てなどにより再び土に返る。
‘輪廻する糸’ トウモロコシ繊維はともかく竹繊維はとにかく細い。作品のサイズは幅1.5m以内、長さは3mという条件であった。しかもテーマは「輪廻する糸」である。その条件の中で「輪廻というテーマをどう解釈するか」「素材と如何につきあい、技法をどう駆使するか」ということをもとに各校が取り組み発表されたのだが、いざふたを開けてみると平面という条件におかまいなしに立体、衣服さらには着物まであり、多種多様なものが展示されていた。 作品を個々にみていくと竹、とうもろこし等のもとの素材と関連させたもの、編む、組む、織る等の技法から展開したもの、糸を砕いて紙状にしたもの、糸を生かして立体にしたもの、染色したもの、以上を複合させたものと用いられた技法は様々であった。また内容も「輪廻」を色々に解釈しそれに基づいて独自のアプローチで展開していた。その中からいくつか取り上げて見る。 文星芸術大学の「竹物語」は細い竹繊維の糸20本を、装置を工夫して撚り合わせてスプラング技法で捩り、学内の実習庭園に生える竹の成長期にできる皮でとめ、竹林を思わせる作品を出品していた(写真@)。 岡山県立大学は竹で糸を染めて竹ヒゴに糸を張り緊張感のあるさわやかな作品にしたてていた(写真A)。 女子美術短期大学の「起伏」はカラフルに染めあげた糸で感情の起伏を、編みで表現していた(写真B)。様々な方向を向く立体の先端部分に、青に染められた糸がグラデーションに巻かれた名古屋女子大学短期大学部の作品は、「魂」の表現ということであったが、揺れ動き浮遊する様が蠢いている形の中に表わされていた(写真C)。 京都造形芸術大学の「ひとひら」は海の水の蒸発のイメージを球体に糸を巻いて表現し、軽やかに浮上させた(写真D)。 取組み 取組みの例を、東京造形大学で見てみると、「輪廻」という言葉から連想されるものを列挙する一方、素材の研究を始める。燃やすと竹繊維は灰が白いことから、植物性であることがあらためて確認できる。トウモロコシ繊維は、化学繊維のように黒い固まりができるし、臭いも出る。融点が低い。その素材で何ができるか、まず実験から始める。竹繊維を細かく切ってミキサーにかけ、ドロドロにしたものを紙漉きの要領で漉き、紙状にする。白くてきれいな、和紙状のものができた。それを細巾に切って織り込み四角い形を出す。一方、トウモロコシ繊維を裁断し散らし、融点が低い事を利用してアイロンで接着させシート状にしていく。さらに高熱をかけて、プラスチック状になったパーツ(パターンの色の部分)を組みあわせる。それぞれを帯状にして、それらを最後につなげて1枚にして作品に仕上げた。実験の過程から、糸のもつ様々な変容する姿とあらためて取り組み、「集合と拡散」の繰り返しのなかに、糸の輪廻を感じ取っていた。(写真E) 各校とも与えられた素材の中で工夫をしていたが、始めに素材ありきの中で、テーマを掘り下げ、方法を求めそして制作する。可能性を求めて無から有を作り出していく、しかもその制作期間中に、目に見えて成長していく彼らのたくましい姿には圧倒される。そして事実様々な展開を会場で見ることができた。繊維による表現の可能性は実に幅広いものとあらためて知らされた。 その繊維の可能性、広がりを、今後の仕事の中で、色々な形で社会の中で提案として生かしていって欲しいものである。
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