しまぬきあきこ:ファイバーワーク展
 

裂き撚り糸を生かしたデザインオブジェ
織造作家 嶋貫昭子さんに聞く

嶋貫 昭子さん
 裂織の歴史はかなり古いのだが、“現代の裂織”の扉はやっと開かれたばかりといえよう。“布を織り素材として活用する世界の可能性”を、今、多くの人々がさまざまな角度から探っている。
 長年、“織り”を究めてこられた嶋貫さんが、この数年来取組んでいるのが“プライスプリット「撚り割り技法」”というファイバーワーク。ほとんど指先だけを使っての単純な作業で、撚りをかけた素材の撚りを割りながら、他の素材を通し入れ、面をつくっていく。この技法は縦と横だけでなく斜めにも展開できるし、撚り特有の作用で立体表現が可能になる。
 また素材に撚りがかかることによって陰影が生じ深みのある色になる。さらに色糸の面を分割したり、重ね合わせたりすることで、色が強くなったり弱くなったり、自在に色彩効果を工夫できる。
 素材はジュート(麻)の色糸を使うのだが、張りと強さのあるジュートに対し、柔軟な布地を組合わせることで、独特の風合いを創出している。資源を大事に生かしていくことは大切。古い着物は自分で活用できそうなものだけいただき、地味なものには明るい色を取合せるなど、限られた色の中で熟考して使う。
 ここに紹介する作品の素材は、3本撚りのジュートと和服地など。布はハサミで縦方向に1?a弱に切りテープ状にしたものを、撚り器でしっかり撚りをかけ、ひも状にして使用する。
* プライスプリットはインド西北砂漠地帯の遊牧民の間で発達し、駱駝の腹帯や装身具などをつくるために用いられている。


  写真説明 (各画面上でクリックすると、拡大写真を見ることができます)

a. ストライプで斜めの面を強調したもの。斜めの切り替えを入れることで、動きが出る。暗い部分が男物絹絣。
b. 明るいレンガ色のポリエステル生地を地色に、サーモンピンクのジュートの撚り糸で柔軟なかたちを表現した。
c. 紫系とオレンジ系のジュートでテクスチュアを強調し、やわらかな布素材の地色で統一感を見せた。
d. ジュートは赤系と、和服地の色に近い褐色系の3本撚り。赤糸がいつも表に出てくるように操作すると、赤のステッチ風な効果になる。布は泥大島。
e. 絹和服地を全体の地色に使用し、青緑と朱赤のラインで形にアクセントをつけた。

深堀 習(理事長)