裂織の可能性を求めて : 創立総会終わって
深 堀 習
全国裂織研究会創立総会は、2003年5月28日(水)、来年2月25日〜29日開催予定の第2回全国裂織展の会場でもある、東京上野のきもの美術館で開催された。会員400人の中から関東を中心に100余人が参加。まず、創立の中心になってきた役員の紹介。ついで昨秋の第一回全国裂織展の盛り上がりの中で創造的な生活文化としての裂織展を非営利の立場で築いていくという趣旨に賛同したメンバーで全国裂織研究会が発足したとのあいさつがあった。そして、来春の第2回全国裂織展の審査委員でもある来賓の先生方からのこれからの会の在り方、また全国展へのアドバイス、励ましのご祝辞をいただき、資料にそって議事がすすめられた。
「昨秋の第1回展の感動的な盛況から、裂織がいまブームであること。現代のスローライフ、ゆっくりした生き方に適していることを実感しています。裂いて織ること以外制約のない裂織の可能性を追求して、それぞれの生活に根ざした創造的な作品が寄せられるのを楽しみに待っています。」と富山弘其氏(月刊染織α取締役編集委員)
「昨年の裂織展の熱気がそのまま引き継がれていて、うれしい状況です。裂織には各地の歴史がありますが、それとは関係なくやっている方も多い、以前東京の美大生のファッションショーとリサイクルをテーマにしたパフォーマンスの舞台で、工場からもらった布の裁ち落としを着るものに作って着て見せ、それを解いて巻いて大きな玉にして観客に提示。それがゴミなのか、新しい何かを生むプレゼントなのかを問いかけていました。
一度用を得た物をもう一度使うと違う世界が生まれてきます。身に付けていた方との対話が始まる。素材の背景も見直す。いろいろなものを見直して、まさにリライフ(再生)が始まる。裂織が生活の中の新しい文化形態としてクリエイティブな世界へと発展してほしい。日本の着物の細かい裂織は世界にひけをとりません。
自信を持ってがんばっていきましょう。」 野中恵美子氏 (東京造形大学教授)
「最近思うのは、伝統工芸美術などの世界のように、技の美、先輩たちがずうっとやってきたことを受け継いでいくだけでは沈滞してしまうのではないかということです。全国裂織研究会に期待したいのは、自分たちでやっていく、築いていくというパワーを感じたいということです。そのために、この会場を提供します。この総会を機に、公募展 第二回全国裂織公募展を成功させていただきたい。」舟迫正氏 (きもの美術館学芸員)
基本方針 : 非営利の立場で、裂織を育んだ日本の生活文化の伝統を継承し、現代に生きる創造的な裂織文化を築いていく。そのために会員のネットワークを広げ、裂織の可能性を追求していく。
組織 : 会員全体の要望にそって、研修部と事業部が活動し、広報部は会の内外に対してその内容を知らせ普及していく。本部はその要となり、理事会で全体の調整をはかりつつ企画し、事務局は全体の運営の実務にあたり、代表は企画運営の中核となる。
地域組織については、まだ各地域の実情が把握できないので、当面は地域支部は作らない。会は会員一人一人のためにあることを確認し、個人と本部が直接連絡を取り合い、活動を進めていく。
議事終了後4つの輪になって、お互いの顔を見せながら自己紹介、会への希望など話合った。技術交換会や作品解説では、第一回展でひときわ人目を引いた「未来」の作者、朝原智子さんが、カード機、フレミッシュ織、スネーリ織を駆使していることを解説。ジーンズ裂織の門田杏子さんが材料の裂糸を会場回すと、感動の囁きが会場にもれ、織機や作品の仕上げ方などについて質問が続出。第一回展大賞受賞の小林サダさんが、お手製の裂織帽子をかぶって、楽しい裂織人生を語ると、会場いっぱいの楽しい笑い。シルクの美をタペストリーに生かしたスライドとともに、裂織作家としての努力をたんたんと語る野中ひろみさんには一同感銘を受けた。続く会場からの講評希望者に、観衆は場内一周を要求。近くに来ると、作品に触っては質問し、会場は熱気に包まれた。 |
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